国内大学初の統合医療クリニックを開設された先生の本に鍼灸や代替医療のことが記されていたので一部紹介させていただきます。
人の細胞の活発な入れ替わりや、優れた遺伝子修復システムや免疫機能を考えれば、病気は治らないはずはないとさえ思っている。
欧米ではすでに伝統的な西洋医学の手法の欠点を補い、患者さんを全人的に治療できる相補(補完)・代替医療が盛んに行われるようになっている。薬物や手術などの手段によって病気を除去しようとする西洋医学に対して、生活習慣やライフスタイルの改善などによって自己治癒力を向上させ、免疫力を上げようという相補・代替医療は、体に優しく、人間的な医療であるとして多くの支持を集めている。
相補・代替医療とは、人間の自己治癒力に働きかけて、心身の健康的なバランスを回復させることに主眼を置くさまざまな治療法の総称である。
米国内の1400の主要な医療施設のうち、4分の1以上の施設で相補・代替療法が提供されている。ドイツでは、代替医療は一般の人々の「生活の知恵」ではなく、医療従事者にも浸透している。がんをはじめとする疾患による「痛み」をコントロールするクリニックでは、およそ7割もの医者が ”鍼治療“ を実践している。
米国では代替医療が見直されるようになった1990年を境に、がんの罹患率、死亡率ともに減少している。一方、日本ではたくさんの薬が開発されているにもかかわらず、がん患者さんは減るどころか増える一方である。
ホメオパシー、冷えとり療法、フラワーエッセンス、鍼・灸、按摩・マッサージ・指圧、気功、食事療法など、代替医療には数多くの治療法があり、医者から「もう助からない」と言われた患者さんが、病気になった原因を見つけて、そこを是正することで回復した例はたくさんある。なかにはがんが消えてしまったケースも少なくない。また、がんの進行を止めて病気と折り合いをつけながら、毎日を明るく生きている方がたくさんいる。
数ある代替医療のなかでも、鍼灸の効果は世界的に認められているもののひとつである。とくに、痛みをとるという点で効果が期待できる治療法である。国際的に研究が進み、治療の有効性のエビデンスが数多くの論文によって示されている。世界で最先端のあらゆる研究をしている米国国立衛生研究所(NIH)は、「鍼」は外科手術後や化学療法による吐き気・嘔吐などに有効だとしている。