乳がん検診の現状
- haru-haru02
- 2017年5月20日
- 読了時間: 4分
引き続き乳がん検診の現状についてご紹介します。
「がん検診を信じるな」 鳥集 徹 著より抜粋
前立腺がんだけでなく、乳がんも過剰診断の害を避ける対策が模索されています。
乳がんでは、マンモグラフィ検診の普及によって、超早期の「非浸潤性乳管がん(DCIS)」が多数発見されるようになりました。DCISは乳管の中にとどまる病変で、一部が乳管をつき破って、周囲の組織に広がる「浸潤がん」になります。そして、浸潤がんになると全身に転移して、命取りになると考えられています。
しかし、DCISの中には乳管内にとどまり続けて、命を奪わない病変もたくさん存在します。実際に、マンモグラフィ検診で早期がんが増えても、死亡率が下がらないことを示す臨床試験の結果があります。
こうした事実を受けて、欧米の専門家の間では、DCISを「がん」と呼ばず、「上皮内新生物」と呼んで、がんとは区別すべきだという声すら出ているそうです。
ただし、現時点の医学では、どの人のDCISが非浸潤がんのままでとどまり、どの人が浸潤がんになり得る危険なものなのか区別がつきません。そのため、乳がん検診を受けて「がん」と診断されたら、ほとんどの医師が「念のため」に手術を勧めるはずです。
また、患者も放置するわけにはいかないので、ほとんどの人が手術を受けることになるでしょう。つまり、乳がん検診を受けて「がん」と診断されたら、過剰診断の害を避けることは事実上不可能なのです。
このような問題を解決すべく、現在、DCISをすぐには治療せず、経過観察する臨床試験が国内外で行われているそうです。その結果次第では、もしかすると将来、乳がんでも前立腺がんと同様に「監視療法」が選択肢の一つとなるかもしれません。
また、乳がんに関する複数の遺伝子変異を調べることで、将来、浸潤がんになるかどうかを予測する方法も研究されており、すでに米国では自費で検査できるようにもなっているそうです。こうした技術の研究が進めば、見つかった非浸潤がんが放置してもいいものか、それとも早く取ったほうがいいものか、区別できるようになるかもしれません。
しかし、現時点では見つかった乳がんが危険なものかどうか区別できず、過剰診断の害は避けられない状況にあります。だとしたら、やはり効果が微妙なわけですから、乳がん検診も前立腺がんと同様、安易に受けないほうがいいということになるでしょう。
実は、日本の乳がんの専門医からも、そのような声が出始めています。2016年12月11日、「日経新聞」のネットメディア「日経ヘルス」に、「『乳がん検診、行かなきゃ』・・・その思い込みは捨てよう」というタイトルの記事が載りました。この記事は次のように書いています。
「乳がんを含めたがん検診の目的は、死亡率を下げること。しかし実際は、検診により新しく発見される罹患者数は増えているのに、死亡率は下がっていない。聖路加国際病院乳腺外科の山内英子部長は、『そろそろ、必ず検診に行かねばならないという、“がん検診神話”は捨ててほしい。乳がん検診の場合、発症リスクの低い人が検診を受けることで、過剰診断や偽陽性、被曝のリスク、精神的な負担などの不利益が、検診による利益を上回ることも。発症リスクを考慮して、必要な人が、その人に合った方法で検診を受けてほしい』と話す」
この記事が画期的なのは、コメントをしている人が、日本乳癌学会の理事だということです。乳がんの学会の幹部を務める医師が、「必ず検診に行かねばならない」という神話は捨てるべきだと訴えているのです。
この記事では昭和大学医学部乳腺外科教授の中村清吾医師も、乳がんリスクの高い人について解説するコメントを出しています。実は中村医師は山内医師の前任者で、聖路加国際病院の時代から日本の乳がん研究をリードしてきました。現在、日本乳癌学会の理事長も務めています。
このように、乳がんの専門医たちも、公に乳がん検診の限界を認めるようになってきています。この事実は、非常に重いと言えるでしょう。いまやマンモグラフィ検診をやみくもに推奨する時代ではなくなったのです。
― 以上抜粋
やはり、どうしても気になるという方はリスクの少ないエコー検診をお願いしたほうがよさそうですね。早く非浸潤がんと浸潤がんの区別がつくようになるといいですけど・・・。
ということよりも、ならないようにするにはどうしたら良いのかを考え実践していくことが大事だと思います。